屋敷の窓ガラスを割られた翌日、私の胃は朝からギリギリと悲鳴を上げていた。
司に約束してしまったから、今日はちゃんと学校へ行かないといけない。

午後から屋敷へ逃げ込むこともできない。
叔母さんも司も無理をしなくていいと言ってくれたけれど、私は今日1日だけで頑張るつもりだった。


「朝ごはんは?」


ご飯も食べずに玄関先へ向かう私に母親が声をかけてくる。


「今日はいいや。帰ってから食べるから、冷蔵庫へ入れておいて」


笑顔を作って、いつもと変わらない声色で答えたつもりだったけれど、胃が引きつって冷や汗が流れた。


「最近体調がよくないんじゃない? 大丈夫なの?」

「大丈夫だよ、行ってきます」


これ以上引き止められたら学校へ行けなくなってしまう。
私は母親から逃げるように玄関を出たのだった。