叔母さんが割れたガラス窓の掃除をしている間に、私は学校内での出来事をぽつぽつと話始めたのだった。


「魔女って、叔母さんのこと?」


すべての話を聞き終えた司はまず最初にそう聞いてきた。
私は頷く。

年中肌を隠しているその姿から、街の人たちが故意につけたあだ名だった。
司が大きく息を吐き出すのがわかった。

その溜息には怒りが含まれている。
自分のことよりも叔母さんをけなされていたことが許せないんだろう。


「ごめん。なにもかも、僕のせいだったんだね」

「違う! 司は悪くない!」


声を張り上げてみるけれど、司の顔色は悪いままだ。


「でも、僕と関わったせいだろう?」

「だから違うってば! 友達にはちゃんと自分から説明しなかったのが悪いの。剛のことだって、さっき見たように窓ガラスを割るようなヤツなんだよ? 仕方なかったんだよ」

「風の声に乗って僕と関わっていなければ、剛ってヤツと付き合ってたかもしれないんでしょう? 美保、前に僕に相談してきたじゃないか。あのとき確かに悩んでたはずだ」

「それは、そうだけど……」


だけど実際に好きになったのは司だった。
だからその気持を大切にしたんだ。


「僕がいなければ、美保はイジメにあっていなかった」