叔母さんの言葉を無視して、私は大股で窓辺へと向かう。
大きなガラス辺を踏んでしまわないように気をつけながら窓の外を確認すると、そこには剛と孝明の姿があったのだ。
私は愕然として立ち尽くす。

2人はこちらを見上げて、孝明は顔にニヤついた笑みを貼り付けている。


「出てこいよ! いつまで魔女の子供と恋愛ごっこしてんだよ!?」


孝明の声が聞こえてきて柱の陰に身を隠す。
心臓が早鐘をうち、嫌な汗が全身から流れ出す。
呼吸が乱れて立っていることも困難だ。


「美保」


司の声が聞こえてきて視線を向けると、ベッドの上に座って手招きをしていた。
私は外の2人に気付かれないように身を屈めてベッドに近づく。


「ごめん……私のせい」


呟く声が震えた。
恐怖で全身が冷たく、カタカタと震え始める。

こんなふうに隠れなきゃいけないなんて情けなくて、涙が滲んできてしまう。


「なにがあったのか、教えてくれる?」


司の言葉に私は無言で頷く。
もう隠しておくことはできない。


「実はね……」