「えぇ。病弱な子だから、ちょっとしたことですぐに高熱を出していたの。食も細いから栄養を取ることも難しくて、サプリメントばかりに頼って。でもダメね。やっぱり誰かが心を込めて作った料理のほうがずっと効果はてきめんだったのよ」


叔母さんは嬉しそうに目を細めている。
私と出会ったことで司がそんなふうに変化していたなんて知らなかった。
少しでも司の役に立てていた事実に嬉しくなる。


「さ、もうすぐケーキができあがるわよ。今日も司はおかわりしてくれるかしらね」


オーブンの中からは甘くていい香りが漂ってきていたのだった。