「学校が辛いの?」


聞かれて奥歯を噛みしめる。
イジメられているなんてとても言えない。

友達も1人もいなくなってしまったし、毎日毎日罵倒されている。
そんな自分を見てほしくなかった。

黙り込んでしまった私に司が手を重ねてくる。
その手は思っていた以上に細くて驚いてしまう。

そういえば、司は以前よりも痩せたかもしれない。


「大丈夫だよ。美保は1人じゃない。僕がついてる」

「司……」


力強い言葉。
だけどつい、剛の手と比べてしまう。

ごつごつしていて男らしくて、筋力もある腕。
あの腕に守られるのと、司の手に守られるのと、自分にとってどちらがいいんだろう。

ふとそんなことを考えて、慌てて考えをかき消した。
私は司の恋人だ。
なのにこんなことを考えるなんて、なんて最低なんだろう。


「ありがとう司。私には司だけだよ」