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それから毎日のように私は午後から学校を早退して屋敷へやってきっていた。
勉強はちゃんとしているし、司と一緒にいる時間は自分の救いにもなっていた。

学校でどんなに嫌なことがあっても司や叔母さんの顔を見ると吹き飛んでしまう。
それに、学校で授業を受けるよりもよっぽどわかりやすいから、気がつけば私は授業内容を追い越していたのだ。

こうなるともうなんのために学校へ行っているのかもわからなくなってくる。


「なんで学校なんて行ってるんだろう」


勉強の休憩中、叔母さんが作ってくれたクッキーを食べながらつい、呟く。


「どうかした?」


司が紅茶のカップに手を伸ばしながら聞いてくる。


「ここで勉強してるほうが効率がいいから、学校行く必要なんてないなぁと思って」


早口に言ってごまかすけれど、司は渋い顔をしてみせた。


「でも、学校って勉強だけじゃないよね。友達と遊んだり相談に乗ってもらったり、家にいたらできないことが沢山あるんじゃない?」

「そうだけど……」

司は学校へ行っていない。
その分学校内での苦労も知らないはずだ。