「変な声?」


首をかしげる舞子に、昨日の帰りと、ついさっきの出来事を話して聞かせた。
舞子は半信半疑の表情を浮かべていたけれど、その声が若い男のものだったと伝えると急に目を輝かせはじめた。


「それってカッコイイ人!?」


グイッと身を寄せて聞いてくるので私は苦笑いを浮かべる。


「声だけなんだから、そんなのわかんないよ」

「わかんなくてもさ、なんか雰囲気とかあるじゃん!?」


そう言われて頭の中で声を思い出す。
リンッとした涼やかな声。

今みたいに暑い時期に聞いたら心が涼しくなりそうな声だ。


「強いていうなら、爽やかな声かな」


舞子にもわかりやすいように説明すると、うっとりとしたように目を細めた。


「爽やかな声! いいじゃんそれ! 絶対その相手カッコイイよ!」


声も顔もいいなんて贅沢な。
そんな気持ちになるけれど、舞子が言いたいことはなんとなくわかる。