司の声に目の奥がジワリと熱くなり、鼻の奥がツンッと痛くなる。
それはそのまま涙になって私の視界を歪ませた。


(美保、美保)


私はなんてバカなんだろう。
こんなにも優しい人を何日も無視していたなんて。


(司?)

(美保!? あぁ、良かった、美保なんだね?)

(そうだよ、私だよ)


心の声が震えないように心がける。
泣いていることは知られたくない。


(最近ずっと返事がないから、心配してた)

(うん。ごめんね)

(なにかった?)

(大丈夫、なにもないよ)


嘘をつくときにチクリと胸が傷んだ。


(美保、これから会えないかな? 会いたい)


こんな自分に会いたいと言ってくれる人がいる。
学校ではあんなに惨めな目にあっているのに、向き合ってくれる人がいる。
私は涙を手の甲でぬぐい、鼻をすすり上げた。