「あんなヤツにお前を守ることはできない。そばにいる俺のほうがずっといいはずだろ」


剛の言い分は最もだ。
近くにいて守ってくれる人のほうが魅力的なときだってあるだろう。

でも違う。
今の私には司が必要だった。

体が弱いとか、近くに居ないとかそんなんじゃない。
重要なのは心の距離の方だ。


「私はイジメになんて屈しない! あんたになんか負けない! 負けてたまるか!」


私は叫ぶように宣言して、男子トイレから飛び出したのだった。