「そんなことされて、悔しくないのかよ」


そんなことってどのことだろう。
最近は毎日色々なことがありすぎていまいちピンとこない。

壁に手をついてたち上がり、剛を見つめる。


「おとなしく俺と付き合えば、今すぐにでもイジメはなくなるぞ」


その言葉に私はぼーっとした頭で考える。
周囲からの攻撃のせいで、イマイチ頭が働かない。

勉強していても自分が理解しているのかいないのか、それすらわからない。


「それってどういう意味?」

「俺の女になれ」


剛がもう1度私の腕を掴む。
グッと引き寄せられて、無理やり腕の中に抱え込まれた。

その刹那「いや!!」と声をあげて剛の体を押し返していた。
両手で、全力で。
そして剛をにらみつける。

どれだけ頭がぼーっとしていようと、これだけはハッキリしていることだった。
私は剛の女にはならないということ。


「全部、あんたが由奈に吹き込んでやったことなんでしょう?」