それでも両親を安心させたくて学校へ向かう。
公園に差し掛かると今日も司の声が聞こえてきた。


(美保。頼むから返事をして)


あぁ、そういえば屋敷に電話していない。
声が聞きたいと思いながらも、それすらみんなにバレてしまったらどうしようと思って、怖くて結局できなかった。

家の中にいるときにまで誰かの目があるような恐怖にさいなまれている。
私は今日も司の声を無視して学校へ向かう。

心はチクチクと痛み、そしてそれもだんだんわからなくなっていく。
私の感情は殻に閉じこもり、二度と陽の光を浴びることはないのだろうか。