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(美保、昨日はどうしたの?)
登校中に司の声が聞こえてきたけれど、私はもう立ち止まらなかった。
昨日の帰りも司の声を無視してしまった。
心がチクチクと痛む。
司と会話したい。
だけどできない。
いつ、どこで、誰が見ているかわからないから。
こんなことなら司のスマホ番号聞いておくべきだったと、今さら後悔する。
いや、もしかしたら司は通信手段を持っていないかもしれない。
付き合い始めてからも、そういう話題になったことは1度もなかったから。
家にいるときに屋敷に電話を入れるしかない。
家にいるときなら、誰にも見られることはないから、安心だ。
(美保、いないの? 美保?)
公園から離れて司の声にノイズが増していく。
やがてそれは完全に聞こえなくなったのだった。