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1人になるとようやく深呼吸ができる気分だった。
そこがほこりだらけの空き教室だとしても、みんながいる教室よりもずっとマシだ。


「このままじゃダメだよね。ちゃんと、舞子に説明しないと」


空き教室の窓辺に立って呟く。
その声は空中に解けてすぐに消えた。

信じてもらえなくても、舞子には最初からちゃんと説明しておくべきだった。
風に乗って聞こえてくる声についてはすでに相談してあったんだから、その相手と会ったと言えばよかった。

でも、今はもう少し1人でいたい。
楽しそうな舞子を見ると気持ちが沈んで行ってしまうから。

私は椅子を持ってきてそこに座り、ぼんやりと窓の外の景色を見つめ続けたのだった。