いや、見つめてくるというよりも睨まれている感じがしてたじろいだ。


「舞子?」

「どうして彼氏ができたことを言ってくれなかったの?」


名前を呼ぶのとかぶせるように舞子が言う。


「え?」

「男の子と一緒にいるところ、見た人がいるんだって。本当なの?」


その質問に更に嫌な汗が流れ出る。
司とは外へ出て歩いたことはない。

けれど、屋敷の外まで見送ってくれたことなら、夏休み中に何度もあったことだった。
それを目撃されていたのかもしれない。


「違うの舞子。これにはちょっと、理由があって」


慌てたせいで言い訳めいた言葉が出てきてしまった。
舞子には司のことをちゃんと伝えるつもりでいた。
そのためにどうすればいいか、司とも相談中だった。

それなのに……!


「じゃあ、彼氏は本当にいるんだね?」


強い口調で詰め寄られて、私は頷くことしかできなかった。
他にどうすることもできない。