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7月上旬の朝はやはり暑かった。
外へ出た瞬間、カラッとした熱気が私の体を包み込む。

それだけで体力は奪われていくのに、今日は遅刻寸前で走らなきゃいけない。
普段運動なんてほとんどしていない私はすぐに額に汗が滲んできた。

あぁ、もう最悪。
せっかく新しいファンデーションをつけてきたのに。

汗や水に強いタイプのメーク道具だったけれど、やはり落ちてしまうのが気になる。
UVカット効果もあるものなので、ここで落ちてしまうと困るのだ。

学校に行ったらちゃんとつけ直さないと。
頭の中で学校に到着したあとのことをシミュレーションしてみる。

まずは階段を駆け上がって3階の1年生のクラスがある階へ向かう。
教室へは入らずにそのままトイレに行って自分の姿を確認する。

顔や髪の毛をチェックしてから、クラスに入る。
それしかない。

とにかく、学校に到着してしまえばもうこっちのものだ。
朝ごはんを抜いたのだから、遅刻するわけにはいかなかった。

道路を通り過ぎていく車の列を恨めしく横目で見ながら息を切らして走る。
額から頬へ汗が流れていった時、公園まで差し掛かった。

ここまでくるとちょうど半分くらいの距離だ。
あともう少し。
そう思った時、風がふいてスカートが舞い上がった。