(ごめんね、友達に言ってなくて。別に隠してるわけじゃないんだけど)

(大丈夫だよ。僕も元気になって早く美保の友達に会えるようにするからさ)


司は世間の人たちが自分の叔母さんをどう呼んでいるのか、知っているのかもしれない。
司の家にはお手伝いさんや庭師が出入りしているから、そこから情報が流れてきていてもおかしくはない。

私の父親が天野家について知っていたのは、そういうところから聞いた話のようだったし。


(私も、早く司のことを友達に紹介したい。だけど、風の声部については秘密にしておきたいんだよね)


(僕もそう思ってるよ。さすがに、叔母さんにも言えてないことだし、別の病気になったんじゃないかって心配されそうだしね)


おどけた調子の司にようやくホッと胸をなでおろした。


(じゃあ、今度会ったときには私達の出会いを考えなきゃね)

(そうしようか)


風の声部についてはふたりだけの秘密。
胸の中になんだかくすぐったい気持ちが沸き上がってきたのだった。