私にとって今までの人生の中で最も楽しいと感じられる夏休みはあっという間に終わってしまった。


「美保、あまり日焼けしてないね?」


学校で久しぶりに会った舞子が不思議そうに首をかしげて私を見てくる。


「室内で遊ぶことが多かったからね」


咄嗟に答えたけれど、嘘はついていない。
舞子とは結局1度会っただけで夏休みを終えてしまい、そのことが心にひっかかっていた。
舞子は特に気にした様子はなさそうだったけれど、こうして面と向かって会話していると悪いことをしたのではないかと持ってしまう。


「そうなんだ。宿題は全部できた?」

「うん。できたよ」


それもこれも司のおかげだった。
宿題の中にはやけに難しい問題が各科目に出されていて、それを解くためにはどうしても司の力が必要だった。


「なんか、いつもの美保じゃないみたい」

「どういう意味?」

「だって、期末テストの点数もすごくよかったよね? 急にどうしたの?」


司に教えてもらっているからだとは言えなかった。


「なによ、私が勉強してるのがそんなにおかしい?」


苦笑いを浮かべながら聞くと舞子は「そうじゃないけど」と、口を濁して黙り込んだのだった。