「僕と付き合ってほしい」


それは人生2度めの告白だった。
1度目のときは驚き、戸惑い、そしてすぐには返事ができなかった。
だけど今回は違う。

私の心はとっくの昔から決まっていたように感じられる。


「はい」


小さく頷いてうつむく。
さすがに恥ずかしいのか、司が空いている方の手で無意味に頭をかいて花火へ視線を移す。

私も花火へ視線を戻すために顔をあげた、その時だった。
不意に影ができたかとおもうと、司の顔が目の前にあって、唇に微かな感触があった。

柔らかくて暖かくて、少し湿ってて、それで、さっき食べた人形焼の味がした。
私はこの夏ほんの少しだけ、大人になった。