☆☆☆

屋敷の中から見る花火は確かに綺麗だった。
窓枠がまるで額縁になったようで、花火の一瞬一瞬を切り取って見せてくれる。
私が買ってきた屋台飯は綺麗に平らげられていて、みんな満腹だった。


「来てよかった」


色とりどりの大輪の花々が夜空を彩る。
花火の破裂音までクッキリと聞こえてくるけれど、会話に困るほどの音でもない。
ここは本当に穴場だった。


「だろ? 来年も一緒に見よう」


司に言わて私の胸がドキンッと跳ねる。
私は来年もこうして、ここにいていいんだろうか。
その頃司と私の関係はどうなっているだろう?

もし可能ならば、もう少しなにか変化していればいいけれど。
そう思っていると、隣に座っていた叔母さんが「洗い物がまだだったのよね」と呟いて部屋を出た。

それが気を利かせてくれたことだと気が付かないほど、私たちは子供じゃない。
司の手が私の手に触れる。

その手のひらはしっとりと湿っていて、やけに熱を帯びていた。
緊張がこちらまで伝わってくる。


「美保」


呼ばれて横を向くと司もこちらをむいていた。
おでことおでこがくっついてしまいそうな距離に、呼吸が止まる。