眉を下げる司に私は左右に首を振った。


「今回は本当に助かったし、それに、私がやりたくてやってることだから」


司には何度お礼を言ってもしたりない気分だ。


「ありがとう、大切に読むよ」


司はそう言うと文庫本を宝物のように胸に抱きしめたのだった。