☆☆☆

昨日のホラー映画はとてもおもしろかった。
ただ怖いだけでなく、キャラクターたちの関係性も深堀されていたし、幽霊の生前のストーリーも入っていて飽きなかった。


「ちょっと美保! いつまで寝てるの!?」


自室のドアが乱暴にノックされる音がして、夢の中の私は飛び上がって驚いた。
私は今暗い倉庫に閉じこもっていて、幽霊から命からがら逃げてきたところだ。

そんなところに激しいノック音。
あのドアの向こうにはきっと私を追いかけてきた幽霊がいる!

どっと冷や汗が流れたところで肩を揺さぶられて一気に現実へ引き戻された。
重たいまぶたをこじ開けると鬼みたいに眉を吊り上げている母親の顔が間近にあった。


「お母さん……?」


寝ぼけながら上半身を起こして周囲を見回す。
ここは自分の部屋で、幽霊の姿はないことにまず胸をなでおろす。


「なに寝ぼけてるの。もう学校へ行く時間よ」


そう言われて枕元のスマホを確認すると、いつも家を出る時間の10分前になっていた。
その数字をみてもなんのことか理解できなかったけれど、次の瞬間にはすっかり目が覚めてしまっていた。

学校までは歩いて15分かかる。
今から顔を洗って着替えをして、朝ごはんを食べていたらもう遅刻だ!


「どうしてもっと早く起こしてくれなかったの!?」