「勉強を教えてくれたお礼に来たの」

「そんな、来るなら来るって教えてくれたらよかったのに」


あわててベッドから降りようとするので、それを止めた。


「今日はサプラズしに来たんだから、事前に伝えたらダメでしょう?」


クスクス笑って食台を司の元へ運ぶ。
司は食台の上に乗った料理にもっともっと目を見開いた。


「これ、美保が作ったの?」

「スープはね。デザートは叔母さんお手製のタルトだよ」


司は私の説明を聞いているのかいないのか、今どはキラキラと目を輝かせ始めた。


「うそ、すっごい嬉しい!」


その素直な感想にやっぱりこちらは照れてしまいそうになる。


「大切なのは味でしょ味。はい、スプーン」


照れ隠しに司にスプーンを手渡すと、司は1度大きく息を吸い込んでからスープに口をつけた。
どうだろう……。

緊張の一瞬だった。
司の喉が小さく上下してスープを飲み込む音が聞こえてくる。

それからふーっと息を吐き出した。


「どう……?」