お玉にスープをすくってお叔母さんに渡す。
熱々のスープを味見するときの叔母さんは口をすぼめてふーふーと何度も息を吹きかけて、その姿がまるで少女のように可愛らしい。


「うん。美味しいじゃない! 司好みの味よ」


叔母さんから太鼓判を押されてようやく一安心だ。
自分の母親に試食してもらうときよりも随分と緊張して、少しだけ冷や汗をかいてしまった。

フルーツと料理の準備が整ったので、私はお皿にそれらを盛り付け、お盆に乗っけて階段を上がり始めた。
ちょっと緊張して、心臓がドキドキしているのがわかる。

私の前を歩く叔母さんが司の部屋の前で立止まってノックをした。


「お昼ができたわよ」

「うん」


中からくぐもった声が聞こえてきて、叔母さんがドアを開く。


「じゃーん! 今日は美保ちゃんが作ってくれたのよ」


部屋へ入ると同時に叔母さんが拍手で私を室内へと導いてくれる。
天蓋ベッドの上で本を読んでいた司が唖然とした表情でこちらを見つめる。

部屋の隅に置かれていた食台を叔母さんが準備してくれて、その上にお皿を並べていく。


「美保、どうして」


司はまだ目を丸くしたままで事態を把握できていないみたいだ。