叔母さんが私の購入してきた数種類のスルーツに目をつけたようだ。


「もちろん、どうぞ」

「この前はフルーツタルトを振る舞う前に帰っちゃったから、司とふたりでワンポール食べたのよ。さすがに、量が多すぎたわ」


カラカラと声を立てて笑う叔母さんに、つられて私も笑う。


「あぁ、そうだ。この部屋には窓がないからサングラスはいらないんだわ」


ふと気がついたようにそう呟いてサングラスを外す。
サングラスの奥の目は優しく微笑まれていて、見た瞬間に人を和ませる力を持っているようだった。

キッチンには業務用の巨大な換気扇がつけられているから、窓はないのだ。
ゴォーと低い音を立てながら換気扇が回り始めると、もう声のボリュームを気にする必要もなくなる。

私と叔母さんは色々な話を楽しんだ。
料理のこと。

自分の家族のこと、友達のこと。
気がつけば鍋の中では具材がいい調子で混ざり合い、食欲をそそる匂いが立ち込めていた。


「こっちもいい感じよ」


オーブンの中では叔母さん特性のフルーツタルトが出来上がりつつあって、楽しみで心がはずんでくる。


「味見をしてもらえますか?」