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屋敷の前まで来た私は足を止めてスマホを取り出した。
とある人に電話すると3コール目で出てくれた。

電話を切り、しばらくすると玄関が開いて司の叔母さんが姿を見せた。
叔母さんはサングラスの下でいたずらっ子のような笑みを浮かべて私を手招きする。

私は足音を建てないように玄関へ上がり、スリッパをはいた。
叔母さんはなにも言わずに私の前を歩き、私はそろそろとそれについていく。

たどり着いた先は司の部屋ではなくて、キッチンだった。
広いキッチンは飲食店の調理場ほどの広さがあり、地面はタイルで排水溝までついている。


「本格的なキッチンですね」


ドアを閉めてようやく声を出す。
それも最小限の声だ。


「元の持ち主はお抱えシェフがいたみたいよ。だからこんなキッチンなの」


私は叔母さんの説明を聞きながら途中で購入してきたスーパーの袋を台の上に置いた。
袋の中には野菜やお肉が沢山入っている。

ついでにフルーツも買ってきた。


「沢山材料を買ってきたのね。具だくさんスープができそう」


袋の中を確認して叔母さんは嬉しそうに微笑む。


「司は好き嫌いはないんですか?」

「なんでも食べる子よ。だけどやっぱり食が細いから、スープとかお粥みたいなものを好んでるわね」