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オンラインで勉強しているという司は私たちが習った箇所よりも随分先の勉強へと進んでいた。


「すごいね、もうそんなところまで進んでるの?」


普段使っているという参考書を見せてもらうと、まるっきりわからなくて目が白黒なってしまう。


「時間だけはあるからね。勉強も自然と先に進んじゃうんだ」


ほとんどの時間をベッドの上で過ごしている司にとっては読書や勉強はいい暇つぶしになるらしい。
私が苦手としている科目も、司は難なく解いていく。

その上教え方も上手だった。


「人に教えたことはないから、分かりづらい説明になるかもしれないけど」


と、前置きされたけれど、全然そんなことはなかった。
司の済んだ声色のせいもあるかもしれないけれど、先生の説明よりもよっぽど頭に入ってくる。

おかげで今回のテストではいい点数を残すことができそうだった。


(今日はテスト最終日だよね?)


テスト期間中の帰宅時間は事前に司へ教えていた。
テスト最終日、司はすかさず私に話し掛けてくる。
私はいつものように立ち止まり、フェンスによりかかった。


(うん。そうだよ)