舞子の泣きそうな顔が浮かんでくる。
私は映画を観るためにいつもより早めにお風呂を済ませて置いたから問題ないのだけれど、なんだかこうしてつなぎとめておくのが可哀想な気がしてきた。


《美保:わかった。後は私1人で観る》

《舞子:助かる! じゃ、おやすみ!》


舞妓から速攻で安心したようなメッセージが送られてきて、私は複雑な心境になる。
本当にホラーが苦手だったのに、付き合ってくれてたんだな。

でも、この先からは1人で見なきゃいけないんだ。
複雑な気持ちが絡まり合う中、再びテレビに視線を戻す。

テレビ画面では生き残っている二人が女の幽霊に追いかけられているシーンだった。
女の幽霊は真っ赤な血に濡れたワンピースを身にまとい、血走った目を見開いている。

その姿に「ひっ!」と思わず悲鳴を上げて、ソファの上で自分の両足を抱え込んだ。
これは今日眠れなくなってしまうかもしれない。

それでも目を離すことができなかったのだった。