+++
斎月の襲撃をなんとかかわした翌日。
朝から騒がしかった。
……わかっていたけど。
「優大! 昨日の人誰!? 優大の彼女!?」
「あの、」
「もー隠さなくていいのにー」
「いやあんだけ美人だったら隠したくなるって。ほかの奴には見せたくない! とか」
「いつから付き合ってんの? 何年生?」
「いや、」
「あー、優大に彼女かー。泣く子がたくさんいるなー」
…………。
…………………………。
「そんでここへ逃げてきたと?」
昼休み。
生徒会室に逃げ込むと、今日も律が一人で仕事をしていた。
と思いきや、同じクラスの書記の人が、書類を運ぶために出払っているところだったらしい。
俺はパイプ椅子の上で膝を抱える。
「誰も話聞いてくれない……勝手に俺の彼女ってことになってる……人間こわい……」
「人間不信は一足飛びしすぎだろ。ほんとに彼女じゃねーの? 二年の間でも騒がれたぞ? 芸能人みたいな美人だって」
……見た目だけなら否定はしない。
「俺のじゃない。俺のはとこの彼女」
抱えた膝に顔をうずめながら鬱々と答える。
「はとこの? なんだ、お前のじゃねーのか。つまんね」
ぴっと書類の端を爪はじいて、背もたれに体重をかける律に平坦な目を向ける。
「つまんねえってなんだよ」
「お前に彼女出来たらその友達紹介してもらおうと思ってた」
……は?
「なんで」