「……嫁の心配だけしてりゃいいんだよ」
結局、國陽が指摘したことを言おうとしただけだ。
『俺がそうできるようにする、とか言うんだろう』
「お前マジ友達にそのしゃべり方するなよ? なんでそう言いたいことバシバシ当てるかな」
國陽は勘がいいと言うか、他人の行動言動を予測してしまうクセがある。
本人が意識的にしていることじゃなくて無意識でやっているので、國陽の友達が不快に思っていないか心配だ。
『気を付ける』
「ああ」
手のかかるはとこだ。
『だが、俺はお前に色々話せるからいいが、お前は話せる相手、いるのか?』
「………あー……」
それをつかれると痛い俺だ。
頼られることには慣れているけど、頼ることは……苦手だ、よね、うん。
「仕方ねーだろ? 長年染み付いちまったもんはなかなか変わんねーの」
『変えていない、だろう。まあいい。次の土曜、さくとそっちに行く』
「え。なんで。なんで斎月が来るの、まじやめて謝るからほんとごめんなさい」
斎月が……ただでさえ目立つ斎月が、ただでさえ目立つ國陽と連れたってうちに来たりしたら、まず律にバレる。なんなら学校の友達にもバレる。紹介してなんて言われたらどうしようもない。非常に困る。
『なら、今話せ』
「……お前ほんといい性格してる。あー、もう話すよ。ちょっと待って、俺今帰ったばかりだから」
『身支度を整えるくらい待てる』
「うん、じゃあちょっと場所整えるから、スマホ放置するけど待ってろよ?」
國陽の返事を聞いて、ダイニングテーブルに通話状態のままの携帯電話を置いて、とりあえず部屋にある物を取りに行った。
携帯電話を手に取る。
「お待たせ。まー今日あったことを話すなら、霞湖ちゃんがお姉さんにあったことを、俺に話した」
持ってきたファイルを開いて、自分なりにまとめていたページを出す。