そう言葉をかけると、霞湖ちゃんは唇を引き結んでから、大声で泣き出した。
――これは胸を貸さないわけにはいかないだろう。
「泣いていいんだよ」
肩に手をやって、軽く引き寄せる。
俺の胸に頭を当てた霞湖ちゃんは、そのまま泣き続けた。
「おねーちゃん……?」
かじりかけのきゅうりを手にした李湖ちゃんがやってきたので、霞湖ちゃんの力が抜けるのに合わせて膝を折って、李湖ちゃんに向かって手招きした。
すると李湖ちゃんは、俺と霞湖ちゃんのとこまでやってきて、霞湖ちゃんにぎゅーっと抱き着いた。
つられてか、哀しい思いが李湖ちゃんも爆発したのか、二人して泣いている。
俺は二人の背中に軽く手を廻して、泣く場所であり続けた。
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「國陽? どした?」
泣きすぎて目を腫らした霞湖ちゃんと李湖ちゃんにハンカチを渡して、ちゃんと冷やすように、戸締りはしっかりするように言って、水束の家を出た。
帰宅してすぐ、國陽から着信があった。
『優大に何かあったと思って』
あー。そういやこいつ、この前もそんなこと言ってうちに来てたっけ。
勘がいいというか、優しいというか。
目の上のたんこぶみたいな存在なのに、どうしても憎めない奴だ。
「まー、最近色々あってな」
『大丈夫か? 仕事、休みにするか』
「お前何かっつーと俺を休ませたがるばあちゃんか。大丈夫だよ、どっちもうまくやる」
『……』
國陽、無言。圧をかけているわけではなくただ言葉を選んでいる時間なんだろうけど、こいつは見た目だけで圧がかかるんだよな。
冷蔵庫から取り出した作り置きのウーロン茶を飲む、さすがに喉がかわいた。
「お前はさ、嫁のだけ――」
『気が早い』
「いや、最後まで聞けよ」
『……なんだ』