「?」

制服のポケットから取り出して画面を見ると、


『水束霞湖

よろしくお願いします。』


と、表記されていた。

「え?」

霞湖ちゃんから送られてきた?

「その……前に教えてもらった番号、なかなか送れなくて……ごめんなさい」

あ。そういえば小埜病院で逢ったとき、俺の番号渡していたっけ。

「忘れてた」

「ご、ごめんなさいっ! 私がずっとメッセ送らなかったから――」

「いやいや、謝ることないって。霞湖ちゃんは謝りすぎだよ」

「……そんなこと、」

「お待たせしましたー。連絡帳と、李湖ちゃんのバッグです」

先生が小走りでやってきた。

「今日のことは仕方ないので、気に病まないでくださいね。それと、李湖ちゃんのためにも、お姉さん体調には気を付けてください」

先生に笑顔で言われて、霞湖ちゃんは困ったような、照れたような笑みを浮かべた。

「はい」




「李湖ちゃん、お腹空いた?」

暗い道は危ないから、という名目のもと、霞湖ちゃんと李湖ちゃんを水束の家に送っていくことにした。

霞湖ちゃんと手をつないだ李湖ちゃんは、もう片方の手を俺と繋いでいる。

なんだかわからないけど、ほっこりする。

「ぺこぺこです。かえったらきゅうりたべます」

「きゅうり食べるんだ。好きなの?」

意外な存在の登場に驚いて返すと、李湖ちゃんは大きくうなずいた。

「はいっ。まるかりじですっ」

丸かじりか。そうなんだ、とうなずいていると、霞湖ちゃんは苦笑を浮かべた。