「優大くん……なんですか?」
初めて名前を呼ばれた。
でも今は、そこに感動している場合ではない。
「ご名答。でも、『國陽』でもある」
「……どういう、ことですか……?」
霞湖ちゃんには答えず、李湖ちゃんを見下ろす。
「李湖ちゃん、ここへは霞湖ちゃんと二人で来たの?」
「はい。でんしゃにのってきました」
「まだここにいる?」
「かえるとこですっ」
「そっか。じゃ、一緒に帰ろうよ。うちの人が車出してくれるからさ」
「そ、それは申し訳ないですよっ」
慌てる霞湖ちゃんの、李湖ちゃんと繋いでいない方の手を摑んだ。
「――俺の秘密、知られちゃったからさ。霞湖ちゃんは今日から俺の仲間ね?」
ひくっと、霞湖ちゃんがさっきの嗣さんのように顔を強張らせた。
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「結菜さん、友達見つけたから、一緒に乗せていいよね?」
「はい――はっ⁉ ちょ、ゆう――國陽様! 何を仰るんですかっ?」
「あ、大丈夫大丈夫。学校の友達だからさ。俺のこと、口止める時間ほしいからって意味で」
「……そちらの女の子ですか」
と、厳しい顔をした結菜さんが、俺の後ろにいる霞湖ちゃんを見た。
身長の関係で、李湖ちゃんは見えていないだろう。
無理矢理連れて来たから、霞湖ちゃんも泡食っている。
「あと、その妹さんね」
「……わかりました。むしろ今までばれなかったことが幸運です。どうぞ、お乗りください。向かうのはくに――
「優大でいいよ」
「……優大様のおうちでよろしいですか?」
「うん。よろしく」
霞湖ちゃんと李湖ちゃんを押し込んで、俺も後部座席に並ぶ。
周囲を確認して、結菜さんが車を出した。
ここからうちまでは、一時間くらいかな。