のそりと顔をあげる。
「さすがにそこまで教えねーだろ。個人情報」
う、耳が痛い……。
割と俺、父さん経由ではない方法で色んな情報にアクセスできちゃうから、そういう正論を言われると立場がない……。
「そうだ優大、今度の日曜って――」
「用事ありマス」
「……だよな。お前、中学あがってから休みの日絶対遊ばないもんな」
「うー、ごめんすまん申し訳ない」
「そこまで謝らなくていーよ。優大、自分のことロクに話さないけど、わけありなんだなってのはわかるし」
……ごめんなさい。わけありだけど、絶対に言えないんだ。
それは俺が望んで選んだ立場のためだから、俺は俺を裏切ることは出来ない。
「あ、霞湖ちゃん」
「!!」
昼休みも終わる頃、旧校舎にある生徒会室を出て教室へ戻ろうとしていると、旧校舎の階段で霞湖ちゃんを見つけた。
階段に座り込んでお弁当を食べていたようだ。
「もう少しで午後の授業始まるから、そろそろ教室戻ってね。じゃ」
そう言って座っている霞湖ちゃんを追い抜くと、「あのっ」と声がかかった。
「どした?」
数段降りていたので、顔だけ振り返らせる。
お弁当の入っているらしい袋を手にして、霞湖ちゃんが立ち上がっていた。
「どうして、何も言わないんですか?」
「? 何もって……俺結構言ってるよ? 今も言ったし、昨日の放課後も――」
「私がみんなを拒絶すること、何も言わないじゃないですか」
少し怒ったような声で言われた。
みんなを拒絶すること……? あ、話しかけられそうになったら逃げて、誰とも会話していないことかな?
「そういえばそうだね。でもそういうとこって、簡単に踏み込まれると嫌な気持ちになるんじゃないかな? って、わかってるんだと思う、うちのクラスのみんな」