「はい?」

「約束を果たしたいので、空いてる日、一緒に出掛けませんか?」

「? 約束、ですか?」

「うん。國陽と斎月の前でした、約束」

その言い方でわかったのか、霞湖ちゃんは目を大きく見開く。

「……! あ、え、あのっ」

「霞湖ちゃんの心の準備が出来てたら今言うけど」

「ぜひ!」

霞湖ちゃんが食い気味で言ってきた。

そこまで期待されるとちょっと照れる。

ただ、ちょっと心配なこともある。

「……大丈夫?」

「あ……桐湖ちゃんのことは大丈夫にならないといけないので、腹はくくっています。――優大くんの存在が如何にあっても、私は償っていくことを決めているし、逃げることもしません」

真剣な眼差しで言われた。

霞湖ちゃんがそう決めているのなら、桐湖さんのことについて、俺から言うことはないはずだ。

……あ。そういえば俺、霞湖ちゃんと関わる中で、いつの間にか気にしなくなっていたかもしれない。

國陽や斎月だったらどうするか、って……。

あいつらは何というか、俺の憧れだけど、目の上のたんこぶみたいな存在で、あいつらには出来るけど俺には出来ない……みたいに、勝手に比べて落ち込んでいたのに。

霞湖ちゃんのことで、『俺』がどうにかしたい、と考えるようになって、それにつられるように比較することも減っていたかもしれない。

……霞湖ちゃんのおかげだ。

「? なんで笑うんですか?」

「いや、なんかね。霞湖ちゃんすごいなあって」