「―――」
急にいなくなった?
「………」
「その理由までは、私も知らないんですけど……その次に二人が見つけたのが、私だったんです」
「……見つけた」
見つけた、とは? 霞湖ちゃん隠れてでもいたのか?
「理由は単純で、自分たちの見分けのつく人、らしいです。私は……なんとなく、どっちが壱生でどっちが継名かをわかったんで、結愛ちゃんの身代わり、だったんです」
「………」
――國陽のことを話したとき、『やめたくなったりしないんですか?』と訊かれたのを思い出す。
俺は國陽の身代わりで。
霞湖ちゃんは結愛さんの身代わり――だった。
「……そこは、過去形でいいの?」
「はい……。もう二人とは連絡も取っていませんし、私も……結愛ちゃんと同じで、何も言わずに二人の前から消えた身ですから……たぶん、私にも失望していると思います」
「失望……させたくなかった?」
「どうでしょう……私はあくまで結愛ちゃんの身代わりで、二人の傍にいた感覚でしたから……居心地で言えば、私を見てくれる優大くんに全振りですね。でも、失望どうのは考えませんけど、申し訳ないことをしたな、とは思います」
「……大事な友達だったからかな?」
「そう……ですね。友達、でした。たぶん、大事っていうカテゴリーに入るタイプの」
それ以上では、ありませんけど。霞湖ちゃんはそう続けた。
「……うん、大体わかった。冷めちゃうから食べよう」
お互い、軽く飲み物に口をつけただけで話し込んでしまった。
うながすと、霞湖ちゃんがホットサンドに手を伸ばした。俺も手に取って口に運ぶ。
ケージさんと楓湖さんの言った『執着』とは、なかなか解読が難しいことのようだ。
俺も今日はここにいるけど、まさか毎回ついてくるわけにはいかないから、本当にその二人と会うことがあるかはわからない。
けれど。
「俺としては……要注意人物、かな」
その、壱生くんと継名くんは。