「うわ」

「え、そんな反応なの?」

嫌悪感すら見えそうな表情にそう返すと、霞湖ちゃんは小さく頭を上下させた。

「はい……。でも、確かに。壱生(いちき)と継名(つぎな)はここに来るかもしれません……そうしたら優大くんと顔を合わせるかも……」

「? 弟さん、二人いるの?」

「……はい。腹違いの双子、って呼ばれてました」

………?

「どういう意味?」

本気で意味がわからなかった。

霞湖ちゃんは、うーんとうなりながら説明を始めた。

「ややこしいんですけど、桃華ちゃんがお姉さんで、壱生がその次、継名は末っ子です。壱生は四月二日生まれ、継名は四月一日生まれです」

「……生まれが約一年違う、同じ学年ってこと?」

四月一日生まれは、早生まれと同じで前の年の四月~十二月生まれと同じ学年になるはずだ。

霞湖ちゃんはこくりとうなずく。

「はい。誕生日は一日違いで、見た目は瓜二つなんで、よく双子と間違えられてたんです。それで、『腹違いの双子』って一部で呼ばれていて」

「……お母さんが違うの?」

「……桃華ちゃんと壱生が、お母さんが同じで、壱生と継名は、お父さんが同じなんです。だから系図上は姉弟ですけど、桃華ちゃんと継名は、血は繋がっていないんです。それ以上は私も知らなくて……」

再婚とか、色々難しい話のようだ。

そもそも結婚が成立しているかも……って話かもしれない。霞湖ちゃんも把握していないようだし。

食事には手をつけないまま話し込む。

「そんな、色々わけあり二人を、理解していた友達がいたんです」

霞湖ちゃんの声は沈んでいる。

「……霞湖ちゃんのこと?」

「いえ。私とは面識があるだけで、友達ってほど親しくもなかった子なんです。ただ、桃華ちゃんでさえ見間違う二人を、完璧にわかっていたってことが、壱生と継名には特別だったんです。それが中一のときで、中一の終わりに、結愛(ゆあ)ちゃんって言うんですけど、急にいなくなってしまったんです」