「体調に関わる問題は見られませんでしたが、明日から検査をいくつか入れようと思います。同意書が必用になるので、親御さんに来ていただけますか? それと、桐湖さんは今、疲れてしまったようで寝ていますので……病室には入っていただけますが、お静かにお願いします」

「わかりました。同意書は僕が書きます。楓湖ちゃん、みんなと病室にいてもらえる? もし帰った方がいいって感じだったら、帰っても大丈夫だから。優大くんもいるし」

「ええ、お願い。帰るときは連絡入れておくわね」

先生と連れたって、ケージさんが去っていく。

李湖ちゃんはまだ寝ていて、俺が受け取って抱えなおす。

「優大くん、朝ごはんは食べた?」

「え? あ……水だけです……」

「じゃあ、ここのカフェで朝ごはん食べてきて。霞湖もご飯前に出てきたから、一緒に行ってきて」

「桐湖ちゃんは……それに、お母さんはどうするの? 私たち制服だし……」

「桐湖は寝てるって言うから、出来るだけ静かにしてあげたいから。それに桐湖も起きてから霞湖がいた方が、心強いと思うし。起きてから傍にいられるように、今のうちに食べてきちゃって。お母さんは霞湖たちと交代で食べに行かせてもらうわ。今はお腹、全然空いてないのよ。病院だし、何か言われたら両親と来てます、学校には連絡してありますって言っておいて」

「李湖ちゃんも食べてないんじゃないですか?」

すうすう寝ているけど、水束家も朝食前に出てきたようだ。

すると、霞湖ちゃんが苦い顔になる。

「……李湖は朝からこっそり冷蔵庫のトマト食べてお腹いっぱいになって朝ごはん食べられません! って駄々こねてたとこにお父さんから連絡来たんです……」

真正の野菜好きだな。

「李湖ちゃんって面白いね」

「はっ! 李湖を優大くんのおもしれー女にするつもりですか!?」

「え。何言ってんの? 幼稚園児を女性扱い出来ないよ?」

色々と抵触するよね? と言うと、霞湖ちゃんは何かを誤魔化すみたいにそっぽを向いた。

今の言葉に俺の知らない意味でもあるんだろうか。意味深。

「はいはい。仲いいのはいいことだけど、本来はここ、まだ開いてない時間だから移動しましょ」