白鬼の封印師

夕食の時間でのこと。

「時雨」

配膳も終わり、部屋から出ようとすれば父から名前を呼ばれる。
名前を呼ばれたのは、実に数年ぶりだったので身構えてしまう。

「明日の夜、久野家で一族会議が行われる。大事な話があるからお前も出席しなさい」
「会議ですか?」
「ああ、分かったら下がれ」

父はなぜ今更そんなことを。
不思議に思ったが、時雨は静かに頭を下げると部屋を後にした。
自分は久野家の人間であってないようなもの。
普段は何をしても全く目も暮れない父が、専ら愛情を注いでいるのは一華だけ。彼女からのお願いには断れないのか何でも聞き入れているし甘々だった。最愛の女性との間に授かった子供だけあって、一華と時雨の待遇は言わずもがな。

「お父様~新しいバックが欲しいわ。新作の販売がされたの。ねえ~いいでしょ?」
「勿論。買って来なさい。お金ならパパが払おう」
「わ~い!お父様大好き!」

後からは楽しそうな声が聞こえてくる。
お得意の甘えん坊モードを発動させて、今日も一華は父に物を強請っているようだ。そんな娘に父もデレデレだった。

「もう貴方は。一華にはそうやっていつも甘いんだから」

由紀江は釘を刺すも実際はとても嬉しそうだ。

「当然だ。一華は久野家が生んだ選ばれし天才なのだから」