久野家に来て迎える何日目かの朝。
私は毎朝五時に起きると身支度を済ませて台所へと向かう。平日は通っている公立高校の制服の上からエプロンをつけて自室を出る。
私が使う部屋は本家の中でも比較的使用人達が使う離れに近い。そのせいか本家までとは少し移動距離がある。
「あら、おはようございます時雨様。今日もお早いですね」
「おはようございます、佐藤さん」
自分が台所に行くと既に朝の準備をする佐藤さんの姿があった。住み込みで働いている佐藤さんは私とそう歳が変わらない。年配の方が多く慣れた手付きで業務を行う中、当初まだ慣れずに一人苦戦する私を見かけてはよく気にかけてくれた数少ない恩人だ。無能と言われる私にも分け隔て無く接しては自分を時雨様と呼ぶ。
「今日は休日で学校もありませんし、もう少しゆっくりしていてもよかったですのに」
「早起きには慣れてますから。今日は何をすればいいでしょうか?」
「では一緒にこちらで手伝って頂けますか?他の者もまだ来ておりませんので」
「分かりました」
私も手伝いにかかるが朝も早いためとあってかあまり仕事はなかった。遠回しに休んで欲しいと佐藤さんからの思いもあったのだろうか。
久野家の血を流す身ではあっても使用人としての扱いを受ける自分。
それは父を始めとしたこの久野家が、、、
私を久野家の人間とは認めないと。
つまりはそういうことなのだろう。
私は毎朝五時に起きると身支度を済ませて台所へと向かう。平日は通っている公立高校の制服の上からエプロンをつけて自室を出る。
私が使う部屋は本家の中でも比較的使用人達が使う離れに近い。そのせいか本家までとは少し移動距離がある。
「あら、おはようございます時雨様。今日もお早いですね」
「おはようございます、佐藤さん」
自分が台所に行くと既に朝の準備をする佐藤さんの姿があった。住み込みで働いている佐藤さんは私とそう歳が変わらない。年配の方が多く慣れた手付きで業務を行う中、当初まだ慣れずに一人苦戦する私を見かけてはよく気にかけてくれた数少ない恩人だ。無能と言われる私にも分け隔て無く接しては自分を時雨様と呼ぶ。
「今日は休日で学校もありませんし、もう少しゆっくりしていてもよかったですのに」
「早起きには慣れてますから。今日は何をすればいいでしょうか?」
「では一緒にこちらで手伝って頂けますか?他の者もまだ来ておりませんので」
「分かりました」
私も手伝いにかかるが朝も早いためとあってかあまり仕事はなかった。遠回しに休んで欲しいと佐藤さんからの思いもあったのだろうか。
久野家の血を流す身ではあっても使用人としての扱いを受ける自分。
それは父を始めとしたこの久野家が、、、
私を久野家の人間とは認めないと。
つまりはそういうことなのだろう。