「ちょっと、これ違うじゃない!!」
あれから七年の月日が経った。
時雨も高校二年生。
昔までの生活とは一変、久野家では朝から晩まで屋敷での仕事に追われる始末。開口早々に今日も今日とて一華の怒りの矛先は時雨へと向けられていた。
「私はこの服に見合う髪飾りを頼んだ筈よ。それなのに何なの⁈このセンスのないリボンは!!」
「申し訳ございません!」
「謝れば済むと思ってんの?アンタ、私のことバカにしてんじゃない⁇」
一華はそう言って手に持っていたリボンを投げつけた。
ピンク色の絹の生地に白い綺麗なレースがあしらわれたデザインだが…
「なんでこうも使えないのか、、」
イライラした顔の一華。
時雨はそれに静かに屈めばリボンを拾い上げた。
現在、彼女が着ているワンピースとセットで購入した物だ。ショッピングが趣味の一華は普段から服やバックにお金を浪費する。ただ飽き性な性格のせいか、買ったのも忘れて一度も袖を通さず捨てる物さえあった。
「一華さん、このリボンはワンピースとセットで買われたものですから。つけるならこれが宜しいのでは…」
「知らないわよ!もういいわ、それは要らないから捨てといて」
「では違うものを持って来ますか?」
「言われなくともそうしなさいよ!!」
何とも酷い。
今日は一段と機嫌が悪いようで朝からずっとこんなだ。
「時雨さん」
すると近くで朝刊を読んでいた由紀江が顔を上げる。
「飾り一つ満足に選べないのですか?」
「……申し訳ありません」
「はぁ…久野家に引き取られた身で。簡単なことでしょう?一華の使用人として、満足にその役目すら果たせないなんて。無能な性格は何処までもあの女に似ておりますこと(笑)」
「……」
悔しくて歯を食いしばった。
浴びせられる批難の声に悔しくて俯いた。
違う、母は無能なんかじゃない。
そう言い返せたらどんなに良かったか。
だが今の立場がそれを許さない。
今の自分は何の力も持たないただの使用人。
帰る家も無い、ここにしか居場所はない。
「…申し訳ありません」
「もういい、アンタは使えないから。そこの貴方!」
「は、はい!」
「この無能者の代わりに別のを持ってきて頂戴!!」
時雨と同じく部屋で待機していた別の使用人が退室すれば、時雨も後に続いて部屋を出た。後からは小さく誰かが舌打ちをする音が聞こえた。
「ほんっっっと!使えない。何年経ってもあの調子でイライラしてきちゃう」
「ごめんなさいね~今日は大事な用事があるのでしょう?朝からここまで支度に張り切るだなんて。余程のことなのね」
「まあね。実はある殿方にお会いしたくて」
一華は化粧台に向き直ればメイクポーチからはリップを取り出す。基本朝は苦手で起きないというのに。今日はどこか浮世だった顔でメイクにも服にも気合いを入れていたのだ。
あれから七年の月日が経った。
時雨も高校二年生。
昔までの生活とは一変、久野家では朝から晩まで屋敷での仕事に追われる始末。開口早々に今日も今日とて一華の怒りの矛先は時雨へと向けられていた。
「私はこの服に見合う髪飾りを頼んだ筈よ。それなのに何なの⁈このセンスのないリボンは!!」
「申し訳ございません!」
「謝れば済むと思ってんの?アンタ、私のことバカにしてんじゃない⁇」
一華はそう言って手に持っていたリボンを投げつけた。
ピンク色の絹の生地に白い綺麗なレースがあしらわれたデザインだが…
「なんでこうも使えないのか、、」
イライラした顔の一華。
時雨はそれに静かに屈めばリボンを拾い上げた。
現在、彼女が着ているワンピースとセットで購入した物だ。ショッピングが趣味の一華は普段から服やバックにお金を浪費する。ただ飽き性な性格のせいか、買ったのも忘れて一度も袖を通さず捨てる物さえあった。
「一華さん、このリボンはワンピースとセットで買われたものですから。つけるならこれが宜しいのでは…」
「知らないわよ!もういいわ、それは要らないから捨てといて」
「では違うものを持って来ますか?」
「言われなくともそうしなさいよ!!」
何とも酷い。
今日は一段と機嫌が悪いようで朝からずっとこんなだ。
「時雨さん」
すると近くで朝刊を読んでいた由紀江が顔を上げる。
「飾り一つ満足に選べないのですか?」
「……申し訳ありません」
「はぁ…久野家に引き取られた身で。簡単なことでしょう?一華の使用人として、満足にその役目すら果たせないなんて。無能な性格は何処までもあの女に似ておりますこと(笑)」
「……」
悔しくて歯を食いしばった。
浴びせられる批難の声に悔しくて俯いた。
違う、母は無能なんかじゃない。
そう言い返せたらどんなに良かったか。
だが今の立場がそれを許さない。
今の自分は何の力も持たないただの使用人。
帰る家も無い、ここにしか居場所はない。
「…申し訳ありません」
「もういい、アンタは使えないから。そこの貴方!」
「は、はい!」
「この無能者の代わりに別のを持ってきて頂戴!!」
時雨と同じく部屋で待機していた別の使用人が退室すれば、時雨も後に続いて部屋を出た。後からは小さく誰かが舌打ちをする音が聞こえた。
「ほんっっっと!使えない。何年経ってもあの調子でイライラしてきちゃう」
「ごめんなさいね~今日は大事な用事があるのでしょう?朝からここまで支度に張り切るだなんて。余程のことなのね」
「まあね。実はある殿方にお会いしたくて」
一華は化粧台に向き直ればメイクポーチからはリップを取り出す。基本朝は苦手で起きないというのに。今日はどこか浮世だった顔でメイクにも服にも気合いを入れていたのだ。



