術師に頼らない浄化。
もしそれが出来るというのなら、それほどまでに素晴らしいことは無い。今後は現世から花嫁を排出しなくてもいい。妖の邪気によって生命を脅かされる心配も無い。
でもそれは、、。
「し、しかし!もしもその例が仮に成功した場合、鳳魅さんは」
「あー、何となく言いたいことは分かるよ。簡単に言えば僕は死ぬ」
邪魅は邪気あってこそ、己の生命維持が保たれている。
自然界で生きられない彼がここにいるのもそれが理由。
なら全隠世界から邪気が浄化され消えてしまったら鳳魅さんは死んでしまう。
「でもいいんだ。さっきも言ったろ?罪滅ぼしだって。僕は自分の存在を負で終わらせるくらいなら、満足のいく死に方を選びたいんだ」
「そんな…」
平然とした顔で淡々と凄まじく恐ろしいことを語ってはいるが果たして本当にそれでいいのだろうか。自分が死ぬ行為を優先的に行っている。これは自殺行為だ。
どうしてそこまで…。
「…嫌です」
「時雨ちゃん?」
「鳳魅さんが死ぬのは嫌です。私は納得出来ません」
死んで当然と見なされる存在であったとしても。
私は納得がいかなかった。
この人はそんなことで死ぬような価値のない人ではない。例え邪魅だったとしても。
この人には何とか生きていて欲しかった。
「はは、時雨ちゃんは面白いね。自分の生命を脅かす対象物に対して死ぬなだなんて。僕は君に憎まれて当然の相手なんだよ?」
「それは…」
確かにそうだけれども。
でも何だろう、増悪とかそういったものとは少し違う。
鳳魅さんはどことなく過去の私に似ているような気がしたのだ。
あの日、引き取られた久野家で扱われる私の存在意義は間違っていると。私は私自身が生きるべき、ちゃんとした価値を持った一人の人間なんだと。
どんなに周りから評価されなくとも。
その信念を貫き、怠ることを良しとはしなかった。
惨めで辛くとも。
どんなに自信が無いと自己肯定感を否定したとしても。
私に生きる意味を与えてくれる人は必ず現れるって。
一周回って考えることはやはり同じだった。
違う道に逸れようとあがこうが、最後には道は繋がっているかのようにして一つ一つのピースがパズルのように合わされば辿り着く場所はいつもと変わらない。
ならやはり、自分は曖昧な考え方のまま死ぬことだけはしたくないということだろう。
鳳魅さんの存在は今の私によく似ていた。
何かを犠牲にしたとしても。
それが自分の為に生きる価値を与えるものだと。
そう心から言える人生を送ると決めたというのならば。
「鳳魅さん」
「?」
「私を…ここで雇っては頂けませんか?」
もしそれが出来るというのなら、それほどまでに素晴らしいことは無い。今後は現世から花嫁を排出しなくてもいい。妖の邪気によって生命を脅かされる心配も無い。
でもそれは、、。
「し、しかし!もしもその例が仮に成功した場合、鳳魅さんは」
「あー、何となく言いたいことは分かるよ。簡単に言えば僕は死ぬ」
邪魅は邪気あってこそ、己の生命維持が保たれている。
自然界で生きられない彼がここにいるのもそれが理由。
なら全隠世界から邪気が浄化され消えてしまったら鳳魅さんは死んでしまう。
「でもいいんだ。さっきも言ったろ?罪滅ぼしだって。僕は自分の存在を負で終わらせるくらいなら、満足のいく死に方を選びたいんだ」
「そんな…」
平然とした顔で淡々と凄まじく恐ろしいことを語ってはいるが果たして本当にそれでいいのだろうか。自分が死ぬ行為を優先的に行っている。これは自殺行為だ。
どうしてそこまで…。
「…嫌です」
「時雨ちゃん?」
「鳳魅さんが死ぬのは嫌です。私は納得出来ません」
死んで当然と見なされる存在であったとしても。
私は納得がいかなかった。
この人はそんなことで死ぬような価値のない人ではない。例え邪魅だったとしても。
この人には何とか生きていて欲しかった。
「はは、時雨ちゃんは面白いね。自分の生命を脅かす対象物に対して死ぬなだなんて。僕は君に憎まれて当然の相手なんだよ?」
「それは…」
確かにそうだけれども。
でも何だろう、増悪とかそういったものとは少し違う。
鳳魅さんはどことなく過去の私に似ているような気がしたのだ。
あの日、引き取られた久野家で扱われる私の存在意義は間違っていると。私は私自身が生きるべき、ちゃんとした価値を持った一人の人間なんだと。
どんなに周りから評価されなくとも。
その信念を貫き、怠ることを良しとはしなかった。
惨めで辛くとも。
どんなに自信が無いと自己肯定感を否定したとしても。
私に生きる意味を与えてくれる人は必ず現れるって。
一周回って考えることはやはり同じだった。
違う道に逸れようとあがこうが、最後には道は繋がっているかのようにして一つ一つのピースがパズルのように合わされば辿り着く場所はいつもと変わらない。
ならやはり、自分は曖昧な考え方のまま死ぬことだけはしたくないということだろう。
鳳魅さんの存在は今の私によく似ていた。
何かを犠牲にしたとしても。
それが自分の為に生きる価値を与えるものだと。
そう心から言える人生を送ると決めたというのならば。
「鳳魅さん」
「?」
「私を…ここで雇っては頂けませんか?」