○◯◯
「時雨様、到着致しました」
運転手の声と共に開かれるドア。
私は今、鬼門の地と呼ばれるある大きな神社の場所まで訪れていた。
「(どうしてこんなことに、、、)」
着ている着物は普段のものとは比べ物にならないほどに高価で一級品。
今の私にはとても不釣り合いだった。
正しくは着ているのではなく着させられていると言った方がいい。
「…ここですか」
鬼門の地と呼ばれる場所に立つ。
大きな赤い鳥居の傍まで行くと余りの大きさに思わず見上げてしまう。
あれから嵐が過ぎたかのように話が進んでしまった。
それは正直、私にはどうすることも出来なかった。
これから私はどうなるのだろうか。
父に言われたことを思い出した。