白鬼の封印師

妖王は帝の提案に黙り込んだ。
その話を聞いて思うことはあるのだろう。
やがて静かに首を縦に振った。
妖達の復興に力が湧くならと、最後の望みにかけてみることにしたのだ。

妖王は隠世に存在する三つの妖家を集めた。 


お前達一族の未来繁栄の為、
現世の術家から霊力の高い娘を嫁に迎い入れることを決めた。
尚、迎い入れたどの家の娘も喰うことは固く禁ずる。
三大妖家はこの提案を無条件に受け入れるものとする。


妖王の命令に妖家は驚いた。
人間など取るに足らない、食料が良いとこ。
嫁など娶ってどうする気だ。
妖達は大いに荒れた。
だが妖王の強い(まなこ)の下、いずれも命令に背く真似はできなかった。


黒鬼の一族、鬼頭(きとう)家。

天狗の一族、風見(かぜみ)家。

天狐の一族、狐野(この)家。


隠世は王家を筆頭にこの三大妖家の元に国が成り立っていた。
強い統制力と強い妖力。
またトップに君臨する王の忠実な駒としても。
隠世は彼らの妖力にかかっていた。

翌年、術家は娘を隠世へ送った。
それぞれの受け渡しが完了して数年後、隠世には浄化の風が芽吹いた。
荒れた大地は澄み渡り、妖の暴走が治まったのだ。
次第に妖家は力を取り戻し、妖力の力も強まっていった。

双方はこの結果に満足すると契約を結んだ。

この日を境に両世界では住み分けが行われた。
現世は妖の立ち入りを禁じ、代わりに術家からは娘を嫁入りさせること。
また両者は互いの干渉を固く禁じる。

その契約は今も尚、薄れることなく今世に語り継がれているのだった。