白鬼の封印師

一族会議ともあって空気が重い。
代表者に選ばれた人間達が他にもいる中で空気の読めない声が聞こえてきた。

「ねえお父様~話って何?私、友達と電話する約束してるの」
「すまんな。お前の将来の為だ。我慢してくれ」
「え~」

父が優しく説得すれば、一華はほっぺを膨らませる。
それには横にいた小路も呆れていた。
だがターゲットを小路に移した一華はキラキラした目で彼を見つめてくるも完全スルーされていた。そればかりか小路はニコニコと面白がって時雨を見てくるので反応に困ったのは時雨の方だ。

「今日はよくぞ集まってくれた。お前達久野家に早急に知らせたい話があってな」

途端周りにはピリッとした緊張の空気が走る。
父は懐から一通の封を取り出せば机上に置いた。

「なんですの?これ」

由紀恵は不思議そうに封を見つめる。
父は一華を見た。

「一華」
「なあに?」
「お前に縁談の申し出が届いた」

それに辺りはざわつく。
どうやら封の正体は一華にあてられた縁談話の一件らしい。
この時代とはいえ、名家なら縁談も行われるのか。

「縁談?私に??」

一華は酷く驚いていた。
まだ年若い彼女には受け入れがたい話だったようだ。
さっきから動揺が隠せていない。

「先方は是非にとのことだ」
「まあ!!凄いじゃない一華!久野家に縁談を申し込むなんて一体何処のどなた?」

由紀江は興奮した顔で身を乗り出す。
お金に物を言ってコネを作りたい意図が全面に見えていて隠し切れてない。彼女とは対象に時雨は何も言わない一華を眺めていた。

「まあ待て。話はここからだ。実はな、その縁談相手と言うのが…鬼頭(きとう)家だ」

その言葉に再び辺りが悶絶した。
有り得ないと顔を絶望で染める由紀江。
一華は顔を真っ青に体をブルブルと震わせていた。

「あちゃ~とうとうきたか」

唯一、小路だけが余裕の笑みでいた。
時雨は訳が分からなかった。
鬼頭と呼ばれた家に何か問題でもあるというのか。

「あ、貴方…。そんなまさか…冗談でしょう?」
「はぁ、だから嫌だったのだ。だが次の代が重なってしまった。こればかりは何があろうと絶対に避けることは出来ん」
「そんな…あんまりですわ」

深い溜息をつく父。
周りは憐みの目を向ける者、祝福を向ける者と割れていた。