それから数ヶ月が経った頃に訪れた冬は、とても寒い日が続いた。
東京も何日も連続で雪が降ったり、少し積もったり。高校の卒業式の日も、よく冷えていた。
桜の開花も例年より遅かったみたいで、四月に入ってもまだ薄桃色の花びらを降らせる桜並木を楽しめた。
今はもう散ってしまったけれど、地面にはまだわずかに花びらが残っている。
「美波」
不意に名前を呼ばれて顔を上げると、輝先輩がこちらに駆け寄ってきた。
「輝先輩」
彼は、春風で少し乱れた私の髪を軽く梳き、にっこりと笑う。
「すぐわかった?」
「ううん、迷った。大学ってムダに広いんだもん」
「わかる。俺も入学した頃はよく迷ったな」
今年の一月末、私は無事に志望校に合格した。
受験勉強は本当に大変だったけれど、めげずに頑張り続けたおかげでなんとか桜が咲いた。
輝先輩とまた同じ学校に通えるのだ。
私はもちろん嬉しくて、泣きそうになったけれど……。合格発表の日に付き添ってくれた彼は、私以上に喜んでいた気がする。
東京も何日も連続で雪が降ったり、少し積もったり。高校の卒業式の日も、よく冷えていた。
桜の開花も例年より遅かったみたいで、四月に入ってもまだ薄桃色の花びらを降らせる桜並木を楽しめた。
今はもう散ってしまったけれど、地面にはまだわずかに花びらが残っている。
「美波」
不意に名前を呼ばれて顔を上げると、輝先輩がこちらに駆け寄ってきた。
「輝先輩」
彼は、春風で少し乱れた私の髪を軽く梳き、にっこりと笑う。
「すぐわかった?」
「ううん、迷った。大学ってムダに広いんだもん」
「わかる。俺も入学した頃はよく迷ったな」
今年の一月末、私は無事に志望校に合格した。
受験勉強は本当に大変だったけれど、めげずに頑張り続けたおかげでなんとか桜が咲いた。
輝先輩とまた同じ学校に通えるのだ。
私はもちろん嬉しくて、泣きそうになったけれど……。合格発表の日に付き添ってくれた彼は、私以上に喜んでいた気がする。