「この間はひどいこと言ってごめんなさい。それと、ラインも電話も無視してたことも……本当にごめんなさい……」

「いや、俺の方こそ連絡できなくてごめん……」

「ううん……。最初に無視したのは私だもん。先輩が怒るのも無理ないよ……」

「違うんだ!」


反省と後悔でいっぱいの私に、彼がすかさず首を横に振る。


「ごめん、これだけ先に話させて。実は、イヴの日から昨日までずっと富山(とやま)のばあちゃん家にいたんだ」

「え? そうなの?」

「うん。イヴの朝にじいちゃんが倒れて、ばあちゃんから『医者に今夜が山かもしれないって言われた』って電話をもらって、すぐに家族で行くことになってさ」


輝先輩は前置きすると、この一週間ほどのことを話してくれた。


連絡を受け、すぐに家族で富山県の山間部にあるおばあちゃん家に行ったこと。
そのままみんなで病院に駆けつけ、交代でおじいちゃんに付き添っていたこと。
代わる代わる親戚がやってきて、多い時には十人以上がおばあちゃん家で寝泊まりしていたこと。