焼きそばの屋台に並んで、その隣で売っていたたこ焼きも買ってくれた。
どっちも半分こして、次はフランクフルトを買った輝先輩から一口もらって。私が食べたかったふわふわの大きなわたがしも、笑い合いながら仲良く分けた。


かき氷はいちごとブルーハワイを選んで、一口ずつ交換したりして。そのあとは、彼が黄色のヨーヨーを獲ってくれた。


むきになった射的は、私はなにも獲れなかったけれど、輝先輩はシュールな猫のマスコットを撃ち落としていた。
あんまり可愛くはなかったけれど、彼がくれたものだというだけで宝物になった。


ごく普通のカップルと同じように夏の醍醐味を満喫する私たちが、心に似たような傷を抱えているなんてきっと誰も思わない。
普通の人と同じようにお祭りを楽しめていることが、なんだか無性に嬉しかった。


「そろそろ花火始まるな」

「うん。混んできたね」


持ってきていたシートの上で肩を並べているけれど、周囲はたくさんの人たちで溢れている。
どこからこんなに集まってきたのか……と思うくらい。


熱気を感じて蒸し暑い。
だけど、人が増えるにつれて、ワクワクしていった。