まっすぐ家に帰った。誰もいないリビングで早速DVDを観てみる。まずはさっき観ていた映画。

 とりあえず、最初から観てみるか。

 うちはリビングが広くない一軒家。けれどそれに似合わずテレビが異常にでかい。両親がドラマや映画、動画を観るのが好きだからだ。

 映画はたまに観るけれど、そんなに好きってわけじゃないし、恋愛系は途中で大体あきる。それでも野田が楽しいって言っていたからひとつもシーンを飛ばさないで観てみた。

 今、何分の場面かを画面に出して確認すると25分。そろそろ野田が出るシーンだ。

「私はね、秋葉くんと一緒にずっといたいよ」
「俺も」

 さっき観たイチャイチャシーンだ。

 野田を再び見つけた。今より小さい時の野田が親子でキャッチボールをしている、さっき観たシーン。うちのテレビはでかいから、小さく映っている野田がさっきよりも大きく見えた。

 そこから何度も野田の場面を繰り返して観た。
 他の借りたDVDも観て、それを繰り返した。

「野田、普段も顔全部出せばいいのに」

 映画に出てる時の野田は前髪を横に分けているか短いかで目元まではっきりと見えていた。そういえば、こないだの撮影でも横に分けていたな。

 目元を前髪で隠すようになったのは、最近なのだろうか。
 
 エキストラ始めたの、小六からって言っていたっけ?
 今は高二だから、六年くらいやってるのか。

 自分の意思で続けてるんだろうな。
 始めたのも自分の意思で?
 これからも続けたいんだろうか。

 六年。自分がバスケを続けていた六年と重ねあわせた。俺だって一応、試合も練習も、真面目にやってきたつもりだ。高校入ってからは、さぼりがちになってきたけど。

 きっと、自分が過ごしてきたバスケ時代の六年とは全く違うのだろう。

 学校にいる時とは全く違う野田への興味が増していく。

 そんな野田がやっているエキストラは、楽しいのだろうか。