「あれ? 平井くんは続けないんですか?」

「うん、またやりたい」
 
 実はこの撮影が終わってしまうのがめちゃくちゃ寂しい。
 居心地がよくて、楽しすぎて。まだまだ続けばいいのになと思っていた。

 それに、演技が上手くなりたいし、映画の主役も将来はやってみたい。

「やりましょう! 実はですね、今までは一般で参加していましたが、事務所に所属しようか迷っていまして。そしたらもっと撮影に参加できるかなと思いまして。でもなんか手を出せなくて、でも平井くんとだったら何だか前に進めそうな気がします。もしよろしければ一緒に! あ、あとですね、演技のレッスンも……」

「野田、ちょっと落ち着いて?」

「はぁ、すみません。平井くんがやりたいって言ってくれたのが嬉しすぎてつい……あのですね、次参加しようと思っているものがあるのですが……」

 そう言いながら野田はスマホをいじりだした。それを見ていると、笑いが込み上げてきた。

「どうして笑っているんですか?」
「いや、本当に好きなんだなと思って」
「好きですよ! だからやってるんです」


 永遠のように広がってみえる目の前のキラキラした海。それに負けないぐらい野田の表情もキラキラしていた。その姿を見て、俺の胸の鼓動が何故か早くなった。