体育の授業のシーンもちょっと活躍した。

 隣のクラスと合同の授業で、バスケの試合をしているシーン。

 隣のクラスにヒロインを奪い合うヒーローのライバルがいる設定だった。試合中にヒーローとライバルが言い合いして、試合に本気になるふたり。試合終了ギリギリのところでうちのクラスが最後に勝つ。

 勝つきっかけになったはヒーローのシュート。それをさせるために俺がヒーローにパスをした。これはあらかじめ決められていた。プロフィールにバスケをしていたと書いといたからだろう。意外なところでバスケをしていたことが役に立った。

 しばらくバスケをしてなかったけど、動きが体に染み付いていて上手く動けた。このシーンも無事に上手く出来てほっとした。

「演技、完璧でした! かっこよかったです」とパスした瞬間を見ていた野田がテンション高めに言ってきて、少し照れた。

 映画のシーンひとつひとつ撮り終えるたびにほっとして、早く完成された映画を観たいという気持ちが高まっていく。自分の心が今、ものすごく充実感で満たされているのがよく分かる。